キュレーションメディア(まとめサイト)での記事・写真の盗用疑惑や著作権侵害問題に揺れたディー・エヌ・エー(DeNA)が、大手出版の小学館と組み、信頼回復に挑む。閉鎖したサイトと同名のサイトを年内にも復活させる方針で、都内で9日に開かれた2017年4~6月期の決算説明会で守安功社長は「運営体制を刷新する。(共同出資会社を設立した)小学館の力で健全なメディアにする」と強調した。
新たに立ち上げるのは若い女性向けファッションサイトの「MERY(メリー)」。昨秋以降、著作権侵害などを指摘されて公開を停止した10サイトの1つと同名のサイトだ。同じブランドを使用したことについて、守安社長は「ファンが多いため」と説明した。
医学的に根拠のない記事を配信するなど、最も問題のあった医療系「WELQ(ウェルク)」については「(再開は)無理だと考えている」(守安社長)とした一方、ほかの8サイトは「メリーが成り立てば過去のブランドを使っていくのかを含めて考えたい」(同)と述べた。
問題がある記事を配信し続けた原因として、社内のコンプライアンス軽視の風潮、クラウドワーカーを活用した質を問わない記事の量産、ずさんな記事内容のチェック体制などが指摘されている。今後の編集方針について南場智子会長は「サービスを開始する時にどういう方針で編集・校閲しているかしっかりと説明したい」と発言するにとどめ、具体策の明言は避けた。
小学館のノウハウを取り入れるとはいえ、若い女性をターゲットとする情報サイトは乱立しており、競争は激しい。無料で読めるビジネスモデルは変えずに収益は広告に頼るとするが、高品位のコンテンツの製作費を賄うだけの収益を生み出すのは高いハードルとなりそうだ。
また、オリジナルの記事・写真の正当な権利者への「迷惑料」の支払いなど、過去の著作権問題はいまだに解決していない。こうした状況にもかかわらず、まとめサイト事業の再開を決めた背景には、本業のゲーム事業に加え、スポーツや健康分野といった新事業の育成を急ぎたい同社の焦りがあるようだ。
メディア事業の4~6月の損失は5億8600万円だった。7~9月期に損失は約2億円、10~12月期は「ほぼゼロになる」と説明するが、DeNAが描く未来図になるかは不透明だ。
(亀井慶一)
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