英国のキャサリン妃とウィリアム王子は7月、ポーランドとドイツを訪れました。前回、フランスを訪れた時よりも注目を集めたのは、3歳のジョージ王子と、2歳のシャーロット王女も一緒に旅をしたこと。
そして、一家そろっての巧みなコーディネートで、国同士の友好関係や訪問国の文化への敬意を表したファッション外交でした。中でも抜群だったのは、カラーコーディネートです。
外交官や政治家も最近はファッションをコミュニケーション手段の一つとして、アイデアを練ることが増えてきました。けれど、これまで主に注目を浴びてきたのは女性たちのファッション、特に世界のリーダーの妻たちのファッションでした。
元々は自分の国のアパレル産業を世界にアピールする狙いで、自国デザイナーの作品を着ることが多かったものです。
最近では外交の場でのファッションはさらに進化し、国同士の友好を象徴する役割が増えました。訪問する国のデザイナーの作品や、一方の国で生まれて現在はもう一方の国で活躍するデザイナーの服などが採用されるようになっています。訪れる国のクリエイティブシーンに関心を持っていますよ、というサインでもあります。
いずれにせよ、これまでは「誰のデザインを着るのか」が大きなポイントでしたが、ウィリアム王子一家のファッションはもう一つ上の、新しい段階に進化したといえます。
キャサリン妃はこれまでもインド、カナダ、米国などの公式訪問で、こうしたファッション外交を非常に効果的に繰り広げてきました。今回も、自国のデザイナーとしてはアレキサンダー・マックイーン、キャサリン・ウォーカー、ジェニー・パッカムを採用。
首都ワルシャワで行われたエリザベス女王の誕生日を祝うパーティーでは、ポーランド人デザイナー、ゴシア・バクジンスカを、ベルリンでのレセプションではドイツ生まれでロンドンで活躍するマーカス・ルーファーのデザインを採用しました。また独ハイデルベルクでは、ヒューゴボスのウエアでボートレースにも参加。
けれど最も目を引いたのは、一家がポーランド、ドイツそれぞれの空港に到着し、特別機から降りた時のファッションです。一家そろってのカラーコーディネートがとても鮮やかだったからです。
ワルシャワの空港でのウィリアム王子一家のいでたちは、ポーランドの国旗の色である赤と白を基調に統一されていました。キャサリン妃が着ていたのはアレキサンダー・マックイーンのホワイトのスーツ。ウィリアム王子はネービーのスーツで、白いシャツに赤いタイ。
シャーロット王女は、赤と白の小花柄のスモックドレスに赤い靴。ジョージ王子は赤と青のチェックのシャツにネービーのショートパンツを合わせていました。
ベルリン到着時も再び一家で高度なカラーコーディネート。
キャサリン妃はキャサリン・ウォーカーによるベルリンブルーとも呼ばれるペルシャンブルーのスーツドレス、ウィリアム王子はネクタイを同じブルーで合わせ、シャーロット王女はブルーと白の花柄のドレス、ジョージ王子は水色のシャツにネイビーのショートパンツ。
タラップを降りた一家の姿を一目見れば、どんな外交的なあいさつよりも明らかに友好のメッセージが伝わる配色でした。
米国のメラニア・トランプ大統領夫人も最近、フランスを訪れた時に米仏の国旗の共通の色である赤、白、青のカラーコーディネートをふんだんに採り入れていました。
ウィリアム王子一家も、トランプ夫人も、採用するブランドにかかわらず、色によって訪問する国やその歴史を表現するコーディネートを心がけていました。
カナダのトルドー首相も外交の場で、ソックスの色や柄で遊び心を見せることで知られています。ファッションにあまり詳しくない人にもストレートにアピールする演出です。
カラーコーディネートによるファッション外交は、まだまだ続きそうです。
©︎2017 The New York Times News Service
[原文:The Duchess of Cambridge and Family Refine the Art of Pantone Politics/執筆:Vanessa Friedman]
(抄訳:Tomoko.A)
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