人は見た目が大事だとよく言われるが、「自分には関係のないこと」と思っているビジネスパーソンが大半だろう。しかし、ファッションはビジネスの面においても武器になる。
何がどう武器になるのか?『小池百合子式着こなしの黄金ルール』の監修を務めたファッション・クリエイティブ・ディレクターの軍地彩弓さんから、有名な政治家や企業家たちのファッションをチェック。そこから見える彼らの政治・経営戦略などを聞き出す。(聞き手:NewsPicks佐々木編集長)
第一印象は視覚から
佐々木:
ビジネスパーソンにとってファッションは重要なものだと思いますが、なぜですか?
軍地:
「人は見た目が100%」というドラマもありましたが、人の第一印象は、視覚から入ります。視覚でつまずくと30%も損をします。逆に、洋服で30%得している人もいる。まずは視覚から入り、その後にあいさつして、名刺をもらって、その人の肩書を見たりしますよね。合コンの時も見た目から入りませんか?
千代島瑞希:
見た目からですよね(笑)。
軍地:
どんな服を着ているかは、情報をどれだけ取り入れているかにつながります。古い服を着ているということは、その時代でその人が止まっていて、先に進んでいない。人はモテていた時代をそのまま維持しようとするけれど、今の時代は、アップデートすることが大事な時代で、古い時代を引きずるということはそういう人と見られしまう。そういった人がリーダーであると、それが会社のイメージになってしまう。
佐々木:
丸の内エリアはスーツばかりですが、日本の進化が遅れているという一つの象徴?
軍地:
進化もそうですが、規律や既定の概念から抜けていない。そうすると、新しいイノベーションが起きにくいということもなりやすい。
佐々木:
たかがファッション、されどファッション…。
ファッションも情報戦略の一つ
軍地:
ファッションでいくらでも自分を変えて見せられるし、見た目はすぐに変えられる。ですが、人の思想は本を読んだりして変えるのは難しい。髪型がダメだったら、明日、髪の毛を切りに行けばいい。洋服がダメだったら、明日、洋服を買いに行けばいい。すぐにできることだけど、なかなかやらない。ファッションの重要性を知ってほしい。
佐々木:
そこの重要性の認識は、日本のビジネスパーソンはどうですか。
軍地:
業種によりますね。コンサバな業態なのか新しいものを作り出していく業態なのか。
最近、学生に取材したときに「流行の洋服は着なきゃいけないのか」と聞かれました。新しい服は買わないといけないのか、と。今のアパレル業界の現場では、「これはことしの流行です」と言うと売れないといいます。「来年着れない」や「メルカリで売れないかも…」と。新しいことがすべての善ではないけど、新しいスタイルを持つことが大事。古いものに固執しない、何か受け入れる、何かを吸収することが大事。ファッションも情報戦略の一つだと考えた方がいいと思います。
小池さんは洋服を戦略的に選ぶ
佐々木:
基礎を学びましたので、実践編へいきましょう。
軍地さんは小池百合子さんの本の監修をしているということで、政治家の方々を中心に語っていきます。小池さんの装いという意味での評価はどうですか?
軍地:
良くも悪くもキャスターの洋服。服をものすごく戦略的に選んでいます。場面場面で考えていて、相手がダークスーツの場合はカラージャケット。自分がどう見えるかを考え、都政報告の時にはダークなジャケットを着つつも、胸元にスカーフを入れていて、シルクの硬いものではなくて、シフォンを使い、柔らかい印象を与えています。これが“硬い×硬い”になると蓮舫さんになっちゃいます。小池さんの柔らかいと硬いの使い分けが、政治手腕にも近い。
佐々木:
小池さん、着こなしていますよね。
軍地:
“戦略的にパブリックイメージをどうコントロールするか”をよく理解しています。
蓮舫さんは威嚇的
佐々木:
蓮舫さんのファッションはどうですか?
軍地:
硬い、寂しい、キツイ。痩せているので、首筋がとっても目立っていて、攻撃性が見えてしまいます。少し前だと立ち襟を着ていて、80年代のトレンドだなと。エリマキトカゲは、威嚇をするときに襟を立てるじゃないですか、だから威嚇的になってしまう。小池さんの硬軟を使い分ける力が、少しでも蓮舫さんにあれば、攻めるだけでなく柔らかさや、優しさもファッションでアピールできると思います。
佐々木:
蓮舫さんのアドバイザーならどんなものを勧めていますか?
軍地:
シフォンや柔らかい素材だったり、印象がシャープだけれど優しさのあるものですね。あと、胸元にスカーフを付けます。痩せている感じを出さない方がいいのかな。
稲田さんはぶりっ子
佐々木:
稲田(朋美)さんのファッションはいかがでしょうか?
軍地:
“自分ファースト”ですね。自分の着たいものを着ていて、一言でいうとこの服はぶりっ子。柄のワンピースにコサージュが付いたジャケット、網タイツをはいて、ピンクのバッグ。網タイツは地元(福井)の製品を履いているのですが、TPOの観点ですと、防衛大臣だった時には、いつ何時、堅い場所に行かなければならない時もあるかもしれません。しかし、稲田さんはそれよりもご自身のファッションを優先している。後半の責められているときはすごくシンプルになり、退任の時は黒のスーツになりましたが、前半のそういったファッションはもったいなかった。
安倍首相は両家の世襲スタイル
佐々木:
男性陣に行ってみましょう。トップの安倍首相はどうですか?
軍地:
安倍さんは両家の世襲スタイル。すごくいいブランドで、老舗テーラーの洋服を着ていらっしゃる印象で、着ているものがいい。だいたい30~50万円くらいだと思います。安倍さんはトランプさんと並んでもシュッとしているので、スタイルが悪いわけではないのですが、変わらない頑なさを感じる時があります。
佐々木:
ダンディーで知られる麻生太郎さんは?
軍地:
麻生さんはマフィアスタイルというか…、一つ一つのものはすごくいい。ものの良さは分かっているのですが、麻生さんには麻生道があるので、このままマフィア道でいいですね。これでサングラスを付けるとちょっと業種が変わっちゃうのかな。
中途半端なファッションはやめよう
佐々木:
自分のスタイルが決まっているという政治家の特徴はあるんですか?
軍地:
自分のお仲間主義になりますよね。否定的な人を周りに置かない印象があります。客観性ということですが、周りに同調しているというよりは、自分の信じた道や自分の信じている人たちを周りに置く印象がありますね。
独自路線やスタイルと持っている人はそれでいいし、それを否定することはない。しかし、そこに至らない、中途半端な部分がもったいない。何事も突き抜ければスタイルになる。
世界の企業家たちのファッションや、ファッションを変える3つの工夫についての動画解説はコチラ
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